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【本】『ブックのいた街』関口 尚著 ~誰かにすがりつきたい

夕方に娘を図書館に連れていった時に借りて、夕飯後に読み終わりました。読みやすくて先を読みたくなる面白い小説でした。

『ブックのいた街』関口 尚著(祥伝社


大型犬というのは抱くと安心感があるのでしょうね。よらば大樹とは違いますが、すがりつきたくなり、すがりつかれたら自分が強くなったような、そんな気がするのでしょうか。
犬がなぜ忠実なのか、飼い主の気持ちを察するのか。そもそも忠実なのは餌をくれるからなのか、気持ちを察してくれていると人が勘違いしているのか。
向かいに座るかわいい女の子が見ているのは僕なのか僕の後ろの景色なのか、はたまた目が悪いだけなのか。
勘違いであろうと何であろうと、お互いが持ちつ持たれつ幸せならば問題ない。信じるものは救われる。そんなところでしょうか。

感動する話であるのになんだか居心地が悪いというかスッキリしない小説でした。なぜなのでしょう。
無理矢理感があるからでしょうか。果たして彼らにブックが必要だったのか。フックでもホックでもよかったのではないでしょうか。犬でも猫でも、いや、猫ではダメでしょうね。すがりつく大樹でなければ。そう、大樹で事足りたかもしれません。とにかくすがりつきたい。何かにすがりつかなと不安で仕方がない。それだけです。

ブックの生い立ちに無理矢理感があります。そりゃちょっと強引すぎるだろう。謎は謎のままで終わらせていた方が、後味がよかったかもしれません。それはそれで気持ち悪いかな。