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【本】本数珠つなぎ1冊目 『樽』F・W・クロフツ著

 

もう30年ぐらい前、関西ローカルの深夜番組に「美人数珠つなぎ」というコーナーがありました。美人に美人を紹介してもらい、究極の美人を見つけようという企画です。
本の世界でもそれをやってみようと、解説や巻末の広告、本文内での引用など、読んだ本の中で紹介されている本を読んでいくことにしました。というか、そういう読み方は皆さんされていると思います。

で、第一弾はF・W・クロフツ『樽』創元推理文庫
『樽』を本数珠つなぎのトップバッターに選んだ理由は特にありません。たまたま、数珠つなぎをしてみようと思ったときに読んでいた本が『樽』だっただけの話です。

この『樽』は本格推理小説の古典だそうです。本格推理小説を語るときに欠かせない一冊とのこと。ミステリ小説黄金時代の幕開けとなった作品です。
ということはあちこちで見聞きしていたのですが、なんせその辺りの書店には並んでいません。図書館でたまたま見つけました。
数珠つなぎをやる上で、図書館は欠かせません。売れ筋の本とは限らないからです。これからも図書館頼りとなるでしょう。

この『樽』。戦前に書かれた推理小説で、まだ指紋が犯罪捜査の証拠として使われていなかった時代の話です。
名探偵は出てきません。ロンドンの刑事、パリの刑事、弁護士、弁護士に雇われた私立探偵がコツコツとインタビューして回って事件を足で解決していく推理小説です。まあ、アドベンチャーゲームみたいなものですね。インタビューしているうちに情報が集まって事件が解決してしまう。闇雲にインタビューして回っても意味がありませんし、知り得た情報を再構築して謎を解いていくわけですから、時間が解決するわけではありません。それなりの頭脳が必要です。まあ、私など、再構築するには頭が悪すぎてついていけませんでした。
アリバイ崩しがテーマとなっており、奇をてらったトリックは出てきませんが、謎が謎を呼び、なかなか読み応えがあります。つまり、やや退屈。複雑すぎてついていけません。でも、最後にアリバイが崩れたときになるほどと感心。でもでも、ちょっと無理矢理感は否めません。
この小説には筆者のミスが一つあるそうです。犯人さんがし、アリバイ崩しを楽しむとともに、筆者のミスを探しながら読むのも一興です。

ということで、この次に読むのは『黒いトランク』(鮎川哲也著)の予定です。『樽』に触発された鮎川哲也のデビュー作だそうです。

 

 

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