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【本】本数珠つなぎ21冊目『笑う警官』

 

本数珠つなぎ21冊目マイ・シューヴァル /ペール・ヴァールー共著『笑う警官』

 

20冊目の『赤い夏の日』からの北欧ミステリーつながりです。

 

mono93.hatenablog.com

 


スウェーデン初の大量殺人事件、という触れ込み。巻頭には大量殺人がおこったバスの見取り図と、ストックホルムの市街図がおどろおどろしく載っています。
こりゃ本格的ミステリーかと思い、一所懸命小説に出てくる地名を市街図で確認しようとしました。どこにあるのかさっぱりわからん。途中であきらめました。
実際、謎解きに市街図もバスの見取り図も関係ありませんでした。歩いて回ると事件が解決、というパターンです。

『笑う警官』警察小説に分類されるそうです。警察官の私生活も描かれています。古典では探偵、警官の私生活が描かれることはありませんでした。この『笑う警官』辺りから、警官の私生活が描かれるようになり、ミステリーに新しい広がりができたそうです。

しかし、本作に出てくる刑事たちになかなか感情移入できません。彼らの私生活のどこに入り込めばいいのかよくわからないのです。描き方が中途半端なのです。
それもそのはず、あとから知ったのですが、『笑う警官』マルティン・ベック・シリーズ第四作にあたるのだそうです。前三作で描かれた刑事たちの性格や私生活の情報があってこその第四作なのです。

シリーズものの面白さは、登場人物達の変化にあります。身重だった刑事の妻が無事出産し、その赤ちゃんももう高校生か、え、離婚したの? そうくるか……みたいな驚きと楽しみ。これがシリーズものの面白さです。
第四作から読むと、その面白さが半減するどころか、わけがわからないのです。なんで刑事は相棒にそこまで気を使うのか、なぜ上司を毛嫌いするのか、そういうところがさっぱりわからない。面白いはずがありません。

前回の本数珠つなぎで、スターウォーズは公開順に観るべきだと持論を展開しました。既知の情報を元に続編が描かれるので、既知の情報なくして続編は楽しめないと思うからです。今回の『笑う警官』を読んでその思いを強くしました。

『笑う警官』マルティン・ベック・シリーズ第一作『ロゼアンナ』から読んでいてら、倍楽しめたのでしょうね。

 

 

となると本数珠つなぎとしては一作目といきたくなりますが、もう手遅れ感もあり、ちょいとひねります。

同時期にアメリカでも警察小説というジャンルのシリーズが生まれています。87分署シリーズ。名前だけは聞いたことがありますが読んだことはありません。読んでみましょう。
もちろん第一作を読みます。87分署シリーズ第一作はエド・マクベイン『警官嫌い』。なんとタイトルでもつながりました。本数珠つなぎ22冊目『警官嫌い』しかないですね。