週末は晴れ

自転車でスケッチしながら北海道を一周するのが夢

【本】『想像ラジオ』いとうせいこう著読了 タダの裏には何かある  

 


このブログというものもラジオのような感じがありますね。FMミニ放送局みたいな。

皆さん、こんばんは。おはようございますの人もいるでしょうか。夜中の10時に起きる人はそんなにいませんかね。ともかく、こんばんは。
世間では色々あるようですが、テレビを見ないと何が起こっているのかよくわかりません。うちではテレビは点けないんです。娘が録画したアニメと朝の連ドラを見るぐらいで。なので、世の中で何が起こっているのかよくわかりません。
世間は騒々しいでしょうが、我が家の土曜は一日暇でして、本を読んでおりました。読んだのは、いとうせいこうの『想像ラジオ』。芥川賞の候補に上がったりと評判のいい本ということと、木の上でラジオを放送する男の物語、ということしか知識はありませんでした。たまたま、図書館で今月のおすすめ本としてカウンター近くに置かれていたので手に取った次第です。

 


たしかに話題になるだけあって面白いといいましょうか、いい物語です。ある意味、期待を裏切られました。
木の上から放送する男、ということで、ファンタジーのようなライトSFのような、そんな世界を想像していたのですが、ちょっと違いました。結構重かったです。はい。
第一章はそこそこ面白かったかな。ぐいぐい引っ張られて、先を読みたくて眠れなくなるというものではありませんが、のんびり読み進めていけるかな、みたいな。
こういう類の本って、良い悪いではなくて、好き嫌い、自分の趣味に合うかどうか、というのがポイントになったりします。本というのは意外と難しくて、友達が面白いから読めといわれて、読んでみたら、どこが面白いの? てなことはよくあります。逆もありますよね。なんでお前、こんな面白い本を途中でやめるの? 自分を否定されたみたいで腹立たしいやら悲しいやら。
昔、パソコン通信の時代に本に関するフォーラムに参加していましたが、人には本を勧めるものではない、という斜に構えた書き込みがあったことを覚えています。確かにその通り。映画にもそんなところがあって、ぼくは人に本や映画を勧めないことにしています。

あ、話がそれてきました。そんなことを喋りたかたわけではないんです。ブログは話がそれたら削除して書き直しができますが、これはラジオなんで喋ったら流れっぱなし。元の木阿弥。やり直しが効きません。話がそれたらCMか音楽ですね。
ということで、ここで一曲。
レッド・ツェッペリンで「ホール・ロッタ・ラヴ」。胸いっぱいの愛を。

 

 

この名曲、『想像ラジオ』とはまったく関係ありません。たまたま、部屋のステレオで流れていただけです。うちのステレオはHDDプレイヤーでして、時間帯に応じた雰囲気の曲をランダムに流してくれます。なので偶然です。

また話がそれそうです。何の話でしたっけ。『想像ラジオ』でした。えっと、第一章を読んで、ボクの趣味にぴったりとはいかないが、面白く読み続けられそうだ、みたいな話でしたね。ちょっと違うか。
ともかく、第一章の頃は気分良く読んでいたわけです。最後でちょっと嫌な予感はしていましたが。
第二章になると想像ラジオのDJが正体を現しはじめまして、あ、そういうことなのね、と期待を裏切られました。ちょっと騙されたような……。今朝、娘達が妻の化粧品サンプルを見て、「無料(タダ)の裏には何かある」と話していました。サンプルの場合は無料の裏の目的が透けて見えますが、見えない善意みたいなものもあります。親切にしてくれるな、と思ったら、宗教の勧誘だった、みたいな。仲良くしていたら、突然、これ買って? みたいな。
そういう本だと分かっていれば、そう、無料サンプルです、って書いてくれていれば、嫌な気分にもならなかったでしょう。予め書評かなにかでどんな本か調べておけば、そもそも読まなかったかもしれないし、読んでも裏切られた気にはならなかったでしょう。

あ、いけませんね。これは趣味の話ですから。この『想像ラジオ』を否定するわけではありませんよ。『想像ラジオ』のテーマは重いけど誰かがやらねばならぬことですし、問題提起になりますし、想像ラジオの世界観というか設定には、こうきたか、やられた! という爽快感があります。言い訳のようになり、ウソっぽく聞こえてきそうですが、いい本です。本当に。

でも、ちょっと裏切られた感を拭い去れないんですね。卑怯じゃん、みたいな。ええ、繰り返しますが、最初から分かっていればそんなことは全く感じないんです。下調べして読めばよかったと後悔しています。でも、どんな話かわからないで読むワクワク感も捨てがたいんですよね。
まあ、これは完全にボクの趣味ですね。赤が好きか青が好きか、うどんが好きかそばが好きか、そんな話です。どっちのほうがいいか議論しても意味がない話。趣味の世界です。ひねたボクとはちょっと趣味が違ったな、という話です。
でもねですね、いとうせいこうは凄いなと思います。呼び捨てはいかんですかね。いとうせいこうさんは凄いなと思います。これをテーマにするには相当の覚悟が必要だと思います。想像でしかありませんが、これをテーマにしていいのかどうか、いとうせいこうさんも相当悩まれたのではないでしょうか。受け入れる人もいれば、反発する人もいるでしょう。実際に、色々中傷されているかもしれません。かなりの勇気と覚悟がいるテーマです。
読み手も覚悟がいるでしょう。心洗われる人もいれば、ふざけんじゃねえ、所詮は他人事、人の心の中に土足で踏み入るんじゃない、と怒る人もいると思います。私の場合は片足突っ込んでいるようなもので、あの時は書こうと思わなかったの? 遠い土地の話しだしね、と嫌味を言いたい気持ちもあります。そういや田中康夫は頑張ってたな、と昔を思い出しました。

なんか行き詰まったところでちょうどお別れの時間です。お別れの曲はこれ。リビングで勉強中の娘の鼻唄でお送りいたします。「明日があるさ」。
それではおやすみなさい。

プチッ。

しかし、なんで小学生の娘が「明日があるさ」を知っているのでしょうか。