【自転車】ハーフグローブと夫婦円満の秘訣
昨秋、ハーフグローブに穴が空きました。夏を迎えるため、初夏に新調することにしました。
つき合いのいい次女を連れて自転車量販店へ。ハーフグローブを買いに行きました。身に付けるものは試着したいのです。
そのお店のグローブ売り場に男女*1がいました。男がロードバイクを始めたばかりと思われる彼女にグローブ選びのうんちくを語ります。
「グローブはベルクロで締めるのはダメ。ウェアの裾を痛めるんだよね。こういうベルクロのないタイプを選んだ方がいいよ」
男はベルクロなしのハーフグローブをはめてみせました。
そうなんです。ベルクロはウェアの裾を痛めます。なので私もベルクロなしをと考えていました。
でも、男がしたり顔で語るのを聞いてなんか腹が立つ。反抗心が芽生えてきました。
いくつかの候補の中で悩んでいましたが、娘が「かっこいいじゃん」と選んだのがマビックのキシリウム エリート グローブ(Ksyrium Elite Glove)。マビックはデザインが垢抜けてます。でもベルクロ付き。
夏は半袖。ハーフグローブのベルクロで裾を痛めることはありません。夏は気にする必要ありませんね。それよりベルクロなしだと外しにくいのです。
ハーフグローブの私的選定基準として、もうひとつ、外すときに引っ張るベロが付いていることがあります。これは譲れません。汗でへばりついたハーフグローブを外すのは結構難儀です。引っ張るところがないと苦労します。
なんだかんだいって、夏は休憩のときにはグローブを外したい。一刻も早く外したい。
となると、手首を緩められるベルクロ付き、引っ張りやすいベロ付きが候補となります。
次女が選んだマビック キシリウム エリート グローブ。簡単に外せるとまではいえませんが、許容範囲です。指の先のベロだけではちょっと苦労します。でも、ベルクロで手首のあたりをゆるめられるので楽です。
「そうだね、夏だからね」
デザインよく外しやすい。マビックで決まりです。なんたって娘が選んでくれたグローブです。逆らえません。
ピッタリ手にへばりついたハーフグローブを外すのに四苦八苦している男を残し、マビックのハーフグローブを手に次女とレジに向かいました。
というのはこの初夏の話。そろそろ晩夏というこの時期に、初夏の買い物の話をするのはその続きがあるからです。
次女が選んだマビックのキシリウム エリート グローブ。お気に入りです。文句ありません。デザインも外しやすいところも気に入っています。
そのお気に入りのハーフグローブの左側を失いました。置き忘れです。輪行準備をしていた場所に忘れてきたようです。正確には覚えていません。
正確にどこでどう失ったのか説明でけるぐらいなら、そもそも置き忘れなど起こりません。多分、あそこ、あの時だろうとしか言いようがないのです。
それにしてもよく置き忘れをする男です。腕時計、傘、携帯、本などなど。どれだけ置き忘れ、失ってきたことか。困ったことに高いものほどすぐに失います。
ハーフグローブもそうです。初めて買ったちょい高めのSHIMANOのハーフグローブも数ヶ月出なくしました。でも、とりあえずと買った安物のハーフグローブは4シーズン、穴があくまで使いました。
そして奮発して買ったマビックのハーフグローブ。そんなにしたの? と妻に驚かれながらも買った、予算の倍のハーフグローブ。また数ヶ月で失いました。
「ないと困るんでしょ。同じものを通販で買ったら?」
凹んでいたら妻のありがたいお言葉。妻の助言には従うものです。夫婦円満の秘訣です。
違うハーフグローブを買うという選択肢もあります。でも、また店で試着してというのは面倒です。日もないし。それにさんざん悩んだ挙句に選んだマビックです。これしかないと選んだキシリウム エリート グローブです。同じものでいいじゃないですか。右の予備もできるわけだし……。
ということでスマホで検索。ルンルン。でも、ない。Sサイズだけない。どの通販サイトもSサイズは品切れ。あかんがな。妻も探してくれましたが、ない。振り出しに戻る。
「これじゃあかんの?」
と妻が見せてくれたのは同じマビックでワンランク上のキシリウム プロ グローブ(Ksyrium Pro Glove)。試着した覚えがあります。ベルクロもベロもあります。違いはちょっといいクッションと手の甲の生地の違い。なんでやめたのだろう。高いからかな。小市民だからきっとそうだろう。
「高いやん……」
遠慮してみます。
「高い方がええもんちゃうの。ないと困るんやろ」
太っ腹。ちょっと最近太り気味。いやいや、理解の深い妻です。妻の助言には従うものです。夫婦円満の秘訣です。
「それにする」
で、翌日届いたキシリウム プロ グローブをはめてみて、選ばなかった理由が分かりました。甲の生地がメッシュ素材、シースルーなんです。セクシー。なんかいやらしい。品がなさげ。だから選ばなかったんですね。値段のこともありますが、品のなさが買わなかった理由でした。
「涼しそうやん」
と妻。妻の助言には従うものです。夫婦円満の秘訣です。
「そやな」
さっそく週末の輪行にはめていきました。使い勝手は一緒。クッションの違いはよう分かりません。シースルー効果もよう分かりません。ちょっと甲が焼けたかなと思うぐらい。違いの分からぬ男です。
それから何度か新しいハーフグローブでサイクリング。もう失ったことなど忘れてます。
で、先日の荒川サイクリングロード。ふと見れば左右違うハーフグローブ。左は新しいキシリウム プロ グローブ。右は失ったキシリウム エリート グローブの片割れ。私のことを忘れないでと出てきました。
おそらく、洗濯のあとに同じカゴに入れていたので間違って持ってきたのでしょう。
違う、と気付けば違いが分かってきます。確かにシースルーの方が涼しい。違います。でもクッションの違いは相変わらずわからん。
さて、マビックのハーフグローブを買いにいった店で、マビックのサイクルウェアをセールしていました。黒と赤のサイクルジャージです。どうかな、と次女に見せます。ニヤニヤ嬉しそうです。
「それ、いい」
しかし、次女の笑みになにか引っかかりを感じ、買いませんでした。
家に帰り、妻にその写真を見せます。
「次女がええというんやけど。タイヤもグローブもマビックやからウェアもマビックやと宣伝マンみたいやん? でもええて言うねん」
「それ、Mr.インクレディブルやん」
次女は映画『インクレディブル ファミリー』を観たばかりです。
「やめとき、笑いもんやで」
と妻のアドバイス。
妻と娘のどちらの言葉に耳を傾けるべきか。当然、妻の助言に従うものです。
それが夫婦円満の秘訣です。
*1:アベックは死語といいますが、なんと言えば今どきなのでしょう