週末は晴れ

自転車でスケッチしながら北海道を一周するのが夢

【自転車】革サドルは生きている



革サドルは生きている

 


特に冬。

革サドルって生きてるな

と感じます。

 

mono93.hatenablog.com

 

サドルが温まる

寒い冬、今日も北風が強いかなとサドルにまたがり漕ぎ出します。2019年末に妻からクリスマスプレゼントにもらった BROOKS の革サドルです。

BROOKS レザーサドル 細身で美しいクロムメッキレールのスポーツモデル SWIFT CHROME BLACK

 

サドルが硬い。

第一印象です。凍っているわけではありませんが、硬くて滑ります。
ところが、荒川河川敷に着くころ、サドルの硬さを感じなくなります。お尻とサドルが馴染んでいます。お尻が馴染むのか、サドルが馴染むのか。正確なところはわかりませんが、サドルの硬さが消えています。
 そんなとき、

サドルが温まってきたな

そう思うのです。
そう思う自分に少しだけ酔ったりします。なんかベテランローディーみたいだと。
でも、実際そう感じるのです。そう表現するのが一番しっくりくるのです。
サドルが温まってきたとき、サドルって生きているんだな、と思うのです。

 

革サドルは育つ

革サドルに変えて20ヶ月。その間、5ヶ月ほど怪我をして乗っていない期間がありました。使用期間は15ヶ月になります。まあ1年半ほど経過したわけです。距離にすると約3,700km。走行時間は180時間ほど。今ではすっかりお尻に馴染んでいます。といいますか、全く違和感なく、何ら意識することなく乗っています。長距離走ってもお尻が痛いと感じたことはありません。

BROOKSの革サドルが馴染んでくるのは2,000km超えてから、とどこかで聞いたことがあります。2,000km超えたのは立春を過ぎてもまだまだ寒いころでした。怪我から復帰して1ヶ月ぐらいでしょうか。ちょうど、サドルが温まってきた、と感じていたころです。
やはり2,000kmというのは一つの目安なのかもしれません。
そのころ、革サドルの手入れ、オイル塗りをしていると、坐骨が当たる辺りに細かな皺がたくさんできていることに気が付きました。皺にはいいイメージではありませんが、革サドルに皺ができたことに喜びを感じました。

いよいよ馴染んできた

皺の辺りを押してみると柔らかいのです。皺がないところは硬いまま。革サドルが変わってきたのです。
経年劣化ではありません。経年変化です。傷んで劣っているわけではなく、変わって快適になっているのです。
鉄が劣化すると錆びてきます(酸化である錆は劣化ではないという意見もあるようですが)。樹脂が劣化するともろくなります。革も劣化するとヒビ割れたりもろくなったりします。
革サドルの変化はしなやかに柔らかくなる変化です。劣化ではありません。
無機物は時間の経過とともに劣化していきます。有機物は時間の経過とともに育ち、成長します。ピークを過ぎると老いて、衰えていきますが。
革サドルは育っています。そしていつかは衰え、劣化していくでしょう。革サドルは生きているのです。生きて、育って、老いていくのです。

 

革サドルは乗り手を観ている

その坐骨あたりの皺ですが、右側に集中しています。左側の倍ぐらいあります。そして右側の方が柔らかい。指で押すとしなります。大丈夫かなと思うぐらいにしなります。右の変化のほうが大きい。これって、乗り手の癖を写しているのではないでしょうか。

一分一秒を争うレースに出る気はさらさらありません。抜かれてムッとしますが、追う脚もない。早く走りたいと思わないといえば嘘になります。でも、楽に走りたい、その気持ちのほうが強いのです。
速さも楽さもペダリング次第であろうと思い、楽に走るためにペダリングを意識するようにしています。よく言われるように12時から2時ぐらいで……というやつです。
そのとき、右ばかりに力が入っていると感じます。気がつけば右足だけで漕いでいることに気が付きます。
ペダルを踏まないとき、左右のペダルを並行にするよう心がけています。そのとき、必ず右足が前に来ます。踏み込むとき、漕ぎ出しは右なのです。

自転車だけではありません。なんでも右です。かばんを持つのも右。食いしばりも右。だから首の痛みも肩の痛みも腰の痛みも右。効き目も利き足も右。もちろん右利き。なんでも右です。

その乗り手の癖を革サドルは捉えながら変化しているのです。
相手に合わせて変化する。乗り手の癖を見抜く。乗り手のことを観ている革サドル。サドルって生きているんだなと思います。

 

革サドルは生きている

革サドルは時間の経過とともに変化します。
革サドルは乗り手を観ています。
革サドルは生きているのです。